【コラム】福祉職の「福祉」が持つ言葉の意味について

【コラム】福祉職の「福祉」が持つ言葉の意味について

皆さんは、「福祉ってどういう意味?」と聞かれたら何と答えますか?

福祉という言葉を辞書で引くと、「幸せ」「幸福」と同じ意味を持つとされているので、「福祉は幸せのこと」と答える方は多いでしょう。

では、福祉で働く方々を指す「福祉職」についている「福祉」の意味はどうでしょうか?もし「福祉=幸せ・幸福」なら、「福祉職=幸せ職・幸福職」?このように捉えると、意味が通じませんね。

福祉職の中にある「福祉」とは何なのでしょうか。今回は私の考察をお伝えします。

 

漁業は魚を捕る仕事。農業は作物や動物を育てる仕事。製造業はものをつくる仕事。じゃあ、『福祉』は何をする仕事なの?分からないのに、本当に仕事ができるの?

 

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「福祉=幸せ・幸福」幸せになるためには?

まず福祉を考えるにあたって、福祉が指す「幸せ」とか「幸福」って何だろう?私はその意味を考えるために、日本国憲法を参考にしました。

憲法の中で「幸福」という言葉が出てくるのは1回のみ。それは、憲法第13条。いわゆる「幸福追求権」の内容。

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

衆議院(http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/dl-constitution.htm)より

国は、この条文で国民の「幸福を追求する権利」を保障しています。

結局、幸福の定義は人それぞれで統一することができない。しかしながら、国民一人ひとりが自分の幸福を追い求めることについて、国は尊重することになっています。

そしてここで、「国民は個人として尊重される」「最大限の尊重を必要とする」という内容をもって、個人の尊厳や尊重といった憲法の原則が示されます。

この「幸福追求権」では、「幸福を追求する権利の保障」と「個人の尊厳・尊重」の関係性が示されていると考えられます。つまり、個人の尊厳や尊重が保たれることで、幸福を追い求めることができる、ということではないでしょうか。

 

つまり、「個人の尊厳や尊重」が保たれないと、「幸福を追い求めることができない≒幸せになれない」ってこと。

個人の尊厳・尊重が保たれるために必要なこと

もう少し、掘り下げて考えたい。「個人の尊厳や尊重が保たれる」とは、どんな状況でしょう。

これは、「個性が認められる」と同義として差し支えないだろう。個性とは、一人ひとりの個人の違いを指します。つまり、個性が認められるというのは、「一人ひとりの違いが認められる」ということです。

個人には様々な違いがある。性別、身長、体重、生まれたところ、信条、宗教、好みなど、挙げればきりがない。私たちはこれらの違いの組み合わせによって、この世界中を探しても見つからないたった一人の「自分」という個性を作っている。つまり、個性は違いであり、自分らしさと言うこともできます。

そして、この個性が生まれるためにはもう一つの条件が必要となります。それが、自分で自分のことを選び、自分で自分のことを決めるということ。いわば、「自己選択・自己決定が認められる」ということです。

自己選択・自己決定が認められなかった場合、自分以外の人に自分を決めつけられます。そこに、「尊厳・尊重」は存在しません。

以上のことから、「個人の尊厳・尊重が保たれ」「幸福を追求する≒幸せになる」ためには、①一人ひとりの違いが認められること ②自己選択・自己決定が認められること の2点が不可欠であると言えるのです。

 

自分らしさも、自分で選んで決める権利も認められない状況じゃ、幸せになれないよね。

幸福追求権と福祉職の役割

国民誰もが幸せになるために、個性が認められ、自己選択・自己決定が認められる必要があります。

しかしながら、国民の中には個性が認められず、自己選択・自己決定がままならない方がいるのが事実。例えば、障がいを抱える方や高齢者、児童や生活困窮者など。言ってみれば、自分自身の持っている力を発揮しにくい、制限されやすい環境に立たされている方々もいらっしゃいます。

特に、社会の中で少数派はいつだって多数派の圧力にさらされ、少数派の意見を抑圧されてしまいやすい。こうして、個性的な意見を胸に閉ざし、自分の思いに則った自己選択・自己決定が守られなくなります。

しかし、日本では「幸福追求権」が保障されている。つまり、以上のように社会的状況や周辺環境によって、幸せを追い求めることが難しい方への支援・援助が必要となります。これが、「福祉職」の役割であると言えるでしょう。

考察:福祉⁼幸福追求の支援・援助

「福祉職」の役割について、幸せを追い求めることが難しい方への支援・援助と述べました。

これまでの内容をまとめると、福祉職が指す「福祉」とは、幸せを追い求めることが難しい方への支援・援助であり、具体的には個性と自己選択・自己決定が認められる社会・環境作りであると言うことができるのではないでしょうか。

その核になるのは、本人の権利擁護と権利解放の支援・援助であり、それが可能になったときに本人の幸福追求が可能になる。

その点で考えれば、福祉職の「福祉」は、権利擁護と権利解放の支援・援助と置き換えることができます。

このように捉えると、

  • 福祉職=権利擁護と権利解放の支援・援助を仕事にする人
  • 介護福祉士=介護によって権利擁護・権利解放を支援・援助する人
  • 精神保健福祉士=精神保健分野で権利擁護・権利解放を支援・援助する人

など、すっきりした意味で捉えられるようになります。

 

社会福祉士は「福祉」というより「社会福祉」なのかな?と思ったので、あえて載せませんでした。

まとめ

福祉職が指す「福祉」は「幸せ」という意味ではないです。

幸せになるために、幸せを追い求めるための支援・援助を指す言葉だと考えられます。

更に細かく考えれば、幸せを追い求めるために、①個性が認められること ②自己選択・自己決定が認められること が必要なので、それを支援・援助することを指しています。

そして最終的には、①個性が認められる ②自己選択・自己決定が認められる 支援・援助は、幸せを追求する本人の権利擁護・権利解放とまとめることができます。

つまり、福祉職が指す「福祉」は「本人の権利擁護・権利解放」と言うことができると考察します

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