高次脳機能障害とは?

高次脳機能障害とは?

高次脳機能障害は、脳にダメージを受けることで様々な症状を発症します。

障害の状態が見た目には分かりにくいため、高次脳機能障害を抱える方の困りや悩みは周りから理解されにくく、本人の生活のしにくさが大きいという特徴があります。

近年、高次脳機能障害への理解促進や啓発の動きが広まっていますが、高次脳機能障害とはどのような障害なのでしょうか。

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「高次脳機能」の障害とは?

脳は、その部位によって、視覚をつかさどる領域や運動をつかさどる領域、言葉をつかさどる領域や認知機能をつかさどる領域など、異なる役割を持っています。

高次脳機能障害は、脳へのダメージによって脳の各領域の役割が果たせなくなったり、各領域でうまく連携が取れなくなり、生活上の不便が生じる障害です。

生活する上での脳の働きは、記憶障害などを代表とするように見た目には分かりにくいという特徴があります。そのため、高次脳機能障害は医療からも福祉からも支援の対象とされませんでした。

また、高次脳機能障害は人生の途中で発生する、中途障害であるため、今までできたことが急にできなくなってしまうことから、その喪失感からも生活が急変し、困難をきたしやすい障害と言えます。

しかし、平成13年以降に高次脳機能障害を含む支援の谷間にいる方々の支援方法が検討されるようになったことから、徐々に理解が進むようになりました。

高次脳機能障害の主な症状

注意障害

注意障害は、集中することが難しくなり注意が散漫になる、一つのことに注意を向け続けたり、一度注意を向けると他のことへ注意を切り替えることが難しいといった症状を指します。

また、高次脳機能障害に特徴的な注意障害として、「半側空間無視」があります。半側空間無視は、目には見えているのに片側にある人や物に注意を向けることができず、捉えることができない症状です。例えば左側の視野に半側空間無視がある方は、左側の人や物を捉えきれず、歩いていてぶつかってしまうことがあります。

 

記憶障害

高次脳機能障害にともなう記憶障害は、一時的な記憶である「短期記憶」、永続的な記憶である「長期記憶」どちらの記憶にも影響します。

その症状として、新しい情報やエピソードを覚えられない前向健忘、受傷・発症前の記憶を失う逆行健忘が挙げられます。

 

遂行機能障害

遂行機能障害は、得た情報を整理し行動することが難しくなる障害です。例えば、行動するにあたって計画を立てることが難しくなり、実際に行動することができなくなることや、自分の行動を客観的に見ることができず、行動を適切に管理することが難しくなることが挙げられます。

当事者の生活困難

以上の症状によって、生活にどのような影響があるのでしょうか。

高次脳機能障害を抱える当事者は生活上でかなりのストレスを抱えています。それは、注意障害、記憶障害、遂行機能障害などの症状によって、今まで容易にできていたことが、突如としてできなくなってしまうことが主な要因です。

高次脳機能障害の難しさは、本人が高次脳機能障害の症状を受け入れることにあります。なぜなら症状によっては、自分の高次脳機能障害の症状を客観的に捉えることが難しいため、本人自身は「何も変わっていない」と感じ、周りから見た客観的な変化を受け入れにくいのです。

例えば、脳受傷後に治療・退院し仕事に復職したAさん。

Aさんは受傷前から何も変わってないと思いつつ仕事に励んでいても、高次脳機能障害の症状によって、注意障害や記憶障害で仕事のミスが増え、遂行機能障害により計画が立て実行することが難しく、自分が持っているように仕事ができなくなっていました。

Aさん自身は、以前に比べ仕事が思うようにはかどらず、仕事に対して大きなストレスを感じるようになります。また、職場では本人の症状が見た目には分からないため、受傷前と同等の仕事を求めてしまい、Aさんの仕事上のストレスを増大させてしまうのです。

これは、仕事だけではとどまりません。日常の生活の中で、「今まではできたのに」という変化のギャップに苦しむ方は多いです。

高次脳機能障害は目に見えにくく、捉えにくい障害。それは周りだけでなく、本人にとってもそうなのかもしれません。

 

まとめ

高次脳機能障害による本人の生活上の困難は非常に大きいと言えます。

しかしながら、それは周囲の理解によって本人の周りの環境に働きかけることで大きく軽減することができます。目に見えにくく分かりにくいからこそ、適切な理解と支援が求められます。

そして、「高次脳機能障害」と診断されていなくても、脳血管疾患によって高次脳機能障害と同様の症状と困りを抱えている方は、多いです。

高次脳機能障害は名前を直接目にすることは無くても、身近な障害のひとつであると言えます。

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