【就労B型】工賃は高いに越したことはないけど

【就労B型】工賃は高いに越したことはないけど

私は、就労継続支援B型の事業所で働いている、社会福祉士・精神保健福祉士です。

ところで、「就労継続支援B型」をご存知ですか?

就労継続支援B型について、下記の記事で簡単に説明しているので、気になる方はご参照ください。

最近、就労継続支援B型(以下、B型)は「工賃が低い」と話題になることが多いです。

ちなみに、全国のB型を利用されている方が1か月あたりに受け取る工賃の平均額が16,118円(平成30年度実績)です。

B型になじみが無い方は、月額で16,000円強と聞いて「安い!」と思うでしょう。

この工賃の低さは以前から問題となっていました。

平成30年度からは工賃の金額が、事業所の報酬に反映されるようになったことからも、「工賃の金額」はB型の大きな関心のひとつとなっています。

しかし、この工賃について私は疑問を感じています。

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国がつくった「工賃が高い=よいB型」という風潮

そもそもB型って、労働によって社会とつながり役割や充実を得るためのものだったのではないか、と思っています。

雇用契約を結んで働く一般就労に就くことが難しくても、B型で支援・援助を受けつつ就労を継続していく。

B型の利用の中で役割を得て協力し、自分の力を発揮しつつ充実を得ていく。

そういったものなのだと思っていた。が、違うらしい。

B型事業所の平均工賃額が報酬に反映されるようになり、平たく言えば「工賃が高いB型=いいB型」「工賃が低いB型=悪いB型」と評価されるようになった。

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「生産性」という弊害

「工賃が高い=いいB型」という図式が出来上がったため、B型事業者はこぞって工賃向上に頭を抱えることになる(何もしない事業者もいるのだけど)。

とくに、工賃を向上するために必要なものが「生産性」である。

正直今の世の中で、障がい福祉の話題で「生産性」なんて言葉をつかったら後ろ指を指されそうな気がする。

でも、平均工賃額を基本報酬に反映させるってことは、B型に生産性を求めたっていう事実だ。これは私が悪いわけではない。

B型の中で役割を得たり、充実を得たりするのでは足りない。要は生産性と工賃だ。そう言うことなんだと思う。

最近、B型の担当職員が集まる研修でグループワークなんかすると、「利用者が休みがちで困る」「作業中にいなくなって困る」なんて発言が平然と飛び交う。

「そこを職員が支援するんじゃないの?」なんて思って聞いているのだが、どうやら事情は違うらしい。

職員も職員で、生産性を上げるためににフル稼働で生産に入っており、利用者がひとりでも欠けると厳しい状態。支援・援助に割く時間も惜しい様子。

また、B型から利用者が就職すると生産に影響が出るので、素直に喜ぶことができない、なんてことも。

B型から福祉色が薄まり、どんどん労働を求められる事業へとシフトしていくかもしれない。そんな危機感を抱くような話である。

だが、そんな話をする事業所の多くは、全国平均工賃の倍以上は工賃を支給している。

雇用契約を結んでいるわけでは無いが、労働を強いられるB型。

本当に、それでよいのだろうか。

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「工賃が低くて辛い」の正体

ところで、利用者からよく「工賃が低い」との悲痛な声を聞くことがある。

障害年金を受給されている方であれば、工賃と併せて生活費にすることができる。

それでも、生活は厳しい。本当にその通りだ。

「工賃を上げてほしい」「工賃が安くて生活できない」なんて言われることもある。

職員である私自身、それはそうだと思う。

16,000円強の工賃に障害基礎年金2級ひと月当たりおよそ65,000円を加えたと仮定して、81,000円。それは厳しい。

だが、ひとつ気づいて欲しいことがある。

生活が辛いのは、工賃が低いからではない。社会保障の水準が低いからである。

平成30年度から制度が変わり、基本報酬に平均工賃額が反映されるようになった。

私はこの制度改正について「B型利用者の社会保障への不満を、工賃へ転嫁しようとしてないか?」と本気で思っている。

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工賃は高い方がいいに決まっている

およそ8年ほど前だったか、国が「工賃倍増5か年計画」というものを打ち出したことがある。

これは、「5年で全国の平均工賃を倍にしましょう」というもの。

結果、平均工賃は倍増どころか微増という、無残な結果に終わった。

工賃は、高い方がいいに決まっている。その通りだ。

だから、B型事業者は工賃向上に向けて取り組まなければない。

だが、工賃向上のために投入するヒト・モノ・カネ、付加価値などを考えれば、急に工賃を向上させることができるほどの投資ができるような、そんな潤沢な事業所なんて限られている事実も理解してほしい。

・・・という、さっきから文章をつらつらと打ちながら耳が痛くなってきた自分自身からの言い訳。

また、B型の中には家族会から発足し、利用者に労働の喜びを知ってほしいという思いで、月の平均最低額3,000円をぎりぎり支給しながら支援・援助に力を入れている事業所もある。

そんな事業所への評価も、どうか忘れないでほしい。

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