結局福祉ってよく分かんねぇや

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結局福祉ってよくわかんねぇや

福祉レポート~公的扶助論①(社会福祉士指定科目)

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課題の概要

貧困概念の拡大を踏まえつつ、現代社会における公的扶助(生活保護)の役割について述べなさい。

 

解答

  貧困は、時代や社会によってそのあらわれ方が異なることからも、その概念を一義的に提示できるもではない、しかしながら、過去の貧困概念の歴史や研究を踏まえ、大きく3つの概念が存在すると言えよう。

1つ目が、絶対的貧困である。これは、19世紀末のイギリスにおいてブースやラウントリーによって行われた貧困調査を契機として明らかにされた。この絶対的貧困は、栄養を取れるだけの食事をまかなえない状態と定義されており、貧困そのものを総収入が単に肉体を維持するためだけの最低限度に満たない状態を第1次貧困、総収入が飲酒、賭博、家計上の無知、計画性のない支出さえなければ肉体の維持が可能な食事をとることができる状態を第2次貧困として分類した。

2つ目が、相対的貧困である。第二次世界大戦後の先進諸国の経済的繁栄を実現した「豊かな社会」の中で、アメリカのハリントンやイギリスのタウンゼントなどによって繁栄の影に隠れた貧困が再発見された。その中で、当該社会の大多数の生活との比較で貧困をとらえる考え方が生まれた。これこそが相対的貧困である。なお、タウンゼントはこの相対的貧困の概念を発展させ、12の剥奪指標を用いた相対的剥奪の概念を提唱している。

3つ目が、社会的排除としての貧困である。イギリスの社会学者であるアンソニーギデンズによれば、社会的排除を「人々がもっと広い社会への十分な関与から遮断されている状態」としており、この状態によって将来の展望を持ちにくく孤立化し、基礎的な生活基盤の獲得・保持が困難となることが貧困につながると言える。この社会的排除としての貧困は、近年における社会の多様化や複雑化が根底にある比較的新しい貧困の概念ということができよう。

以上3つのように、歴史と共に貧困概念は拡大していったと言えよう。しかしながら、これは貧困概念そのものが広がったというよりも、社会的に受容することができない生活実態が広がることで、貧困概念の再定義が必要になった結果と言え、今後もその概念の拡大が起こりえると言えるのではないだろうか。

また、現代社会における公的扶助の役割について述べる。まず、公的扶助とは何か。

公的扶助は、社会保険の補完的機能を持っており、社会保険が対象とするリスク以外の要因によって起こる貧困への対応を目的とするものである。公的扶助は租税を財源として保険技術を用いず給付を行うものであり、公的保険者のもと保険集団から保険料を徴収し保険事故に対し給付を行う社会保険とは性質が異なる。しかしながら、防貧的機能を持つ社会保険と救貧的機能を持つ公的扶助が補完し合うことで社会保障制度体系をなしていると言えよう。

この公的扶助の役割として、社会保障制度体系の中で最終的な生活保障施策としてのセーフティーネット機能であることが挙げられる。また、その中でナショナルミニマムとしての役割も同時に求められている。いわば公的扶助は人権保障、そして人権擁護における重要な意義を持つ制度ともいえよう。そして、近年では新たに公的扶助に対し「スプリングボード」という機能が求められつつある。これは、公的扶助が最低生活保障を行うだけでなく、地域社会への参加や労働市場への再挑戦を可能とするために押し戻す役割をもつことを指す。生活困窮者自立支援法と相まって被保護世帯の生活再建に向けた制度改善は今後も必要といえよう。

これらの公的扶助の役割を鑑みつつ、以下では公的扶助の実際の位置について概説する。社会保障の内容は、大きく所得保障、医療保障、介護保障、社会福祉に分けられる。

所得保障は、事故などによる所得減少や中断、喪失などに備え、所得水準の確保そして最低生活や特別の出費に対応する。公的扶助はこの所得保障にあって社会保険で補完しきれなかった際の最後のセーフティーネットとして、生活保護による生活保障を行う。

医療保障は、必要な人に必要な医療を必要な時に提供する原則のもと、医療費・そして医療の提供に対応する。公的扶助は、社会保険や高齢者医療制度で補完しきれなかった際に生活保護による医療扶助を行う。

介護保障は、高齢者が介護を必要とする状態になっても、人間としての尊厳を全うできるよう高齢者介護を社会的に支える仕組みを作ることが目的となっている。ここでは介護保険による給付が行われているが、公的扶助においては生活保護による介護扶助が設けられている。

社会福祉は、ハンディキャップを持つ方々の自立支援が目的となっている。ここでは児童手当、障害者福祉、老人福祉などの社会保障が挙げられるが、公的扶助においては生活保護における自立助長のための対人援助が設けられている。

これまで、 貧困概念の拡大を踏まえ、公的扶助の役割について述べた。

貧困の概念は時代における社会での受容できる生活実態の変化に応じて変化してきたと言え、その中で貧困に苦しむ方の最低生活保障のために公的扶助が存在していると言える。いわば、公的扶助は誰しもが最低限度の生活を営める権利を保障するものであり、人権保障、人権擁護の観点からも非常に重要な制度といえよう。

 

引用・参考文献

1) 臨床福祉シリーズ編集委員会編 『社会福祉シリーズ16 低所得者に対する支援と生活保護制度(第4版)』 弘文堂,2017年